丸山健二とは

刑務所の死刑執行官の日常を描いた

「夏の流れ」で文学界新人賞を受賞し、

同作品にて

当時の史上最年少で第56回芥川賞を受賞した丸山健二は、

仙台に生まれた。

阪田寛夫、野呂邦暢、柏原兵三、豊田穣、宮原昭夫他ら、

錚々たるメンバーを抑えての受賞は

センセーショナルでもあった。

受賞当時から対象を突き放した彼の文体は

和製ヘミングウェイと評され、

受賞第1作目の「正午なり」も好評だった。

「黒い海への訪問者」「朝日のあたる家」など良作が多く、

エッセイにいたるまで、私は丸山の新刊が出るたびに

書店に足を運んだ。

私はしばらくこの作家から目を離さなかった。

彼が30代の後半になった頃からだろうか、

バイクに凝りはじめてから読まなくなった。

漫然としたエッセイに飽きてしまったのだろう。

不意に彼の新刊を読みたいと思ったのは、

書評で坊主頭の彼自身の写真を見てからだ。

書名は「生者へ」というエッセイ集だった。

もともとはすっぱなところがあり、

世をすねたような態度をとりつづける彼が

そのような外見(一見渡世人風)を露呈するのは当然だろう。

いや、丸山の言文一致の局地は

三島のナルシズムとは異質の

言文一致を完結させつつあるのかもしれない。

作品リスト

「夏の流れ」「正午なり」「雨のドラゴン」「朝日のあたる家」「黒い海への訪問者」「アフリカの光」「火山の歌」

「さらぱ山のカモメよ」「ときめきに死す」「赤い眼」「火山の歌」「サテンの夜」「シェパードの九月」

「水に映す」「イヌワシのように」「火山流転」「台風見物」「雷神、翔ぶ」「月に泣く」「惑星の泉」

「さすらう雨のかかし」「水の家族」「野に降る星」「千日の瑠璃」「見よ月が後を追う」「白と黒の十三話」

「争いの樹の下で」「ぶっぽうそうの夜」「いつか海の底へ」「虹よ、冒涜の虹よ」「逃げ歌」「るりはこべ」

月は静かに」「銀の兜の夜」「鉛のバラ」「貝の帆」「落雷の旅路」「日と月と刀」「生きる命」

百と八つの流れ星」「猿の詩集」「眠れ、悪しき子よ」「深海魚雨太郎の呼び声」「我、涙してうずくまり」

「風を見たかい?」「トリカブトの花が咲く頃」「夢の夜から口笛の朝まで」「我ら亡きあとに津波よ来たれ」

「われは何処に」「ラウンド・ミッドナイト」「ブラック・ハイビスカス」